〝やんちゃ精神〟がイノベーションの原動力

 さて、〝やんちゃ〟――。  

 米アップルを創業したのは、スティーブ・ジョブズ氏とスティーブ・ウォズニアック氏でした。学生だった2人が初めて開発したのは、電話をタダでかけられる機械でした。手のひらサイズの箱に押しボタン式ダイヤルが並び、送話口に当てるとどこにでも無料で繋げられたといいます。  

 その類似品は前からありましたが、新技術を応用して使い勝手やデザインを洗練させたのが特徴でした。もちろん違法でしたが、伝記「ビカミング・スティーブ・ジョブズ」によると1台150ドルで売り6000ドルを稼いだといいます。  これを読むと、デジタル創生期の若者たちの〝やんちゃぶり〟がわかります。  

 学生寮を舞台に「大人がつくった秩序を壊し、自由に情報をやりとりしたい」と、交流サイトのフェイスブックを立ち上げたザッカーバーグ氏もそんな精神を受け継ぐ一人でしょう。  しかし、ベンチャーの星だったザッカーバーグ氏は、個人情報の扱いのずさんさや利用者間のメッセージの検閲などを理由に批判され、連邦議会にも呼ばれています。  

 米国では、「ユーチューブ」本社で銃撃事件も起きました。投稿動画の内容が不適切だと公開を制限されたのが動機らしい、と伝えられています。  会社が大きくなり社会での役割が重くなると、素人経営では許されません。しかし、管理を厳格にすれば出発点の理想から離れていきます。  

 人も企業も、自分らしさを保ちつつ社会人になるというのは難しいものです。 

 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000