お金は飛脚に似ている

 さて、お金――。  

 江戸時代後期には、お金にまつわる物語や教訓を挿絵入りで描いた本がよく作られていました。お金を飛脚に擬人化した作品も、その一つです。お金はすばしこく、家の中には上がらず、すぐお暇するから、居着いてくれないことの風刺を描いたのでしょう。  

 家の者がお金に「とんと心が落ち着かぬ。まあ上がりなせえ」と言っても、お金は「飛脚の身の上、たばこ一服でもとはなりません」とつれないのです。  

 翻って今の世は、社会保険料を初めとして生活の基本となる衣食住に関するものは値上がりする一方です。お金が出ていくのを止められない点は、江戸時代後期と何ら変わりません。  

 心配なのは、年金や医療、介護など社会保障費の負担がどう膨らむのか見通せないことです。政府がまとめた経済財政運営の基本方針、通称「骨太の方針」は、高齢者医療などの歳出抑制策が踏み込み不足になっています。家計の応分の負担は避けられないにしても、出費を抑えられるようにする努力はしてくれないと困ります。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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