誰にも〝通り魔〟の悪意が憑りつく恐れがある

 さて、通り魔――。  

 通り魔とは、得体の知れない悪意によって人を襲う犯罪のことです。その昔は、人に憑りついて乱心させる魔物のことを指していました。たとえば江戸時代の本には、槍を携えた白装束の男や笑みを浮かべる白髪の老人の姿で現れます。  

 この魔物は、「通り悪魔」「通り者」ともいいます。庭先などにいきなり出現するとされていますが、そこで慌てずに下腹に心気を収めて目を閉じると消えるといいます。  

 ただ、どの話でも共通するのは隣家や近所で乱心による殺傷事件が起きることです。昔の人は、理解を絶する無差別な凶行を何かの魔の仕業と思うしかなかったのでしょう。  

 それは、今もさほど変わりません。いつもと同じ朝、いきなり子ども訳の分からぬ殺意に襲われたなら、その理不尽を心に収めるのは難しいでしょう。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000