誰にも〝通り魔〟の悪意が憑りつく恐れがある
さて、通り魔――。
通り魔とは、得体の知れない悪意によって人を襲う犯罪のことです。その昔は、人に憑りついて乱心させる魔物のことを指していました。たとえば江戸時代の本には、槍を携えた白装束の男や笑みを浮かべる白髪の老人の姿で現れます。
この魔物は、「通り悪魔」「通り者」ともいいます。庭先などにいきなり出現するとされていますが、そこで慌てずに下腹に心気を収めて目を閉じると消えるといいます。
ただ、どの話でも共通するのは隣家や近所で乱心による殺傷事件が起きることです。昔の人は、理解を絶する無差別な凶行を何かの魔の仕業と思うしかなかったのでしょう。
それは、今もさほど変わりません。いつもと同じ朝、いきなり子ども訳の分からぬ殺意に襲われたなら、その理不尽を心に収めるのは難しいでしょう。
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