伊藤忠の「110運動」と韓国サムスン電子の「119指針」

 さて、立ち飲み――。  

 かつて大阪の〝立ち飲み屋〟に寄ったとき、手作りのつまみが値段別に棚に置かれ、飲み物も含めて客が自ら運んで伝票に「正」の字を書き込んでいくセルフ形式でした。  

 フロアは省力化され、客も1時間を超えるような滞在は稀でした。話題も、阪神タイガースやB級グルメなど当たり障りがないものでした。 

「あきんどの街やから、パッと入ってサッと飲んで出るんや」  

 居合わせた客から、そうしたもっともらしい説も聞きました。  

 さすが大阪で、何事も倹約を旨とする〝精神〟が息づいているようでした。だらだら飲むのは時間の無駄、というわけでしょう。  

 伊藤忠商事は、社内の飲み会のルールとして約6年前から「110運動」を推進しています。飲むなら1次会だけで、夜10時には終了という意味だといいます。  

 範にしたのは韓国サムスン電子の「119指針」で、こちらは1次会、酒は1種類、夜9時に終了と、さらに厳しいものになっています。   

 どちらも大阪流とは相性が良さそうで、意外に時代を先取りしていたのかもしれません。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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