犯罪者は囚人のジレンマに落ちる

 ゲーム理論とは、市場取引などにおける複数のプレーヤーの行動や意思決定を数理的に分析する学問です。その研究対象は経済分野だけでなく、投票行動や外交防衛政策など広範囲に及びます。生みの親である数学者フォン・ノイマンは著書で、「人間関係の学」と定義しています。  

 ゲーム理論に登場する「囚人のジレンマ」を政策的に再現するのが、いわゆる司法取引です。まず捜査当局が、複数の共犯者に「罪を認め情報提供すれば刑を軽くする」と持ちかけます。そろって否認するのが囚人の共通利益ですが、疑心暗鬼に陥って自白する者が出てくるのです。  

 囚人のジレンマとは、おたがい協力するほうが協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況ではおたがいに協力しなくなる――というジレンマです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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