上皇后美智子さんの読書論

 秀逸な読書論として知る人ぞ知る「橋をかける 子供時代の読書の思い出」は1998年、インドで開かれた国際児童図書評議会の世界大会でビデオ上映された皇后美智子さんの基調講演を収録したものです。 

「読書はある時には私に根っこを与え、ある時には翼をくれました。この根っこと翼は、私が外に、内に、橋をかけ、自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに、大きな助けとなってくれました」  美智子さんは、様々な悲しみが描かれている本によって自分以外の人がどれほど深くものを感じ、深く傷ついているかに気づかされたといいます。この思いが、被災者や障害のある人へのいたわりに通じているのかもしれません。  

 美智子さんは、こうも述べています。 

「読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。人と人との関係においても。国と国との関係において」 

 いつの時代でも子どもたちが根っこと翼を持ち、いつか平和を築く橋に育ってくれればという思いでしょう。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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