ホーキング博士の予言
7年前のロンドン・パラリンピックの開会式で、英国の宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士が放ったメッセージは、多くの人の胸に響きました。
「いかに困難な人生でも、必ず達成できるものがある」
「足元ではなく、星を見上げよ。好奇心を抱け」
ホーキング博士は天才の誉れ高く、ボート部でも活躍し、希望に満ちた学生時代を送っていました。ところが21歳のとき、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断を受けています。
その後、車椅子の生活を送ることになりました。死の恐怖と向き合い、声を失いながらも宇宙をめぐる斬新な理論を構築して学界を驚かせています。そして平昌でのパラ五輪の最中、息を引き取っています。
「相対論と量子論の融合」などという難しい話がわからなくても、ホーキング博士のわくわくする宇宙本に魅せられた人は多いでしょう。
ホーキング博士は自ら地球を飛び出す計画を立て、米国で無重力体験飛行に臨んで車椅子から離れたこともあります。逆境をはねのける強い意志と、それを露にしないユーモアとが、どれほど世界の人々を励ましたことでしょう。
病状は少しずつ進んでいましたが、意思伝達システムが発信を助けていました。ロンドンのパラ五輪でも、合成音声が会場に響いたものです。「人工知能(Ai)によって、こうした技術はさらに進歩するのでは?」という問いに、ホーキング博士はこう述べていました。 「完全なAIの登場は人類の終焉に繋がる」
意志の人は、深い洞察の人でもありました。
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