若いとも年配者とも言い切れないアラサー世代のジレンマ

  ネットスラングの「BBA(ババア)」という言葉の使用は、今では芸能界だけではなく一般社会にも浸透しています。  

  女性が多く在籍する会社では、年上の女性社員を煙たがって「あのBBB」と陰口を叩くときなどに使用されています。さらにSNS上で自分の意見を述べた後、言い訳するかのように「まあBBAですけど」的な感じで使われたりもします。  

  しかし、若い女性に過剰に「BBA」と自虐的に振る舞われても「何もそこまでやらなくても」と思ってしまいます。  

 ここまでして〝BBA発言〟をする根底には、日本人の美徳とされる〝謙遜〟の気持ちもあるのでしょう。  

 しかし、とかく若い女性がチヤホヤされる風潮がいまだに根強い中、あえて自分を「BBA」とする自虐ネタは、「もう若くはない」という年齢的なコンプレックスを薄める〝精神安定剤〟の役割を果たしているのかもしれません。  

 また、」あえて自分を「BBA」と認めることで、これ以上は批判させないという〝自己防衛効果〟もあるのでしょう。  さらに自分の若さのピークが過ぎたことを自覚し、市場価値が下がったことを受け止め、謙遜ではなく本気で自分を「BBA」と思っている場合もあるかもしれません。  

 逆に、若いがゆえに「若いだけでは何もできない」「まだまだ仕事を任せられない」などと一人前として認められずにチャンスを逃してきた人が、ようやく若さを手放して自分に自信を持つこともあるでしょう。  

 こうしたケースでは、自分より若い世代に対して「あなたより物事を知っている大人だけど」といった〝マウンティング〟の意味合いもありそうです。  

 そこには、「BBA」と自虐ネタにできる自分を「器が大きい」といった〝承認欲求〟があるのかもしれません。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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