ネット弁慶の狂気に気をつけよう

 福岡市の起業支援施設でインターネットセキュリティー会社員、岡本顕一郎さんが刺殺された事件で、ネットの匿名掲示板に事件の2週間前、殺人容疑で逮捕された松本英光容疑者とみられる人物を「人を殺せるはずがない」などと揶揄する複数の書き込みがあったことが判明しました。  

 書き込みが相次いだのは6月10日で、前日には東海道新幹線の車内で乗客3人が刺傷される事件が起こっています。  

 この掲示板で他の利用者を「低能」などと頻繁に中傷していた松本容疑者とみられる人物を皮肉って、他の利用者が名付けた「低能先生」を揶揄したり、犯人視したりする書き込みが複数寄せられていました。 

「なんで低能先生が殺人事件起こした扱いされてんの 一日中ネット漬けだった先生がネット弁慶脱出するとか言ったとして男性一人殺せるとは思えないんだけど」 

「低能先生はネット弁慶の象徴」  

「ネット弁慶」とは、ネットの中だけ強気な発言をする人物を指しています。  

 今回の事件直後、松本容疑者とみられる人物は、同じ匿名掲示板にこう書き込んでいました。

「ネット弁慶卒業してきたぞ」 

「俺を『低能先生です』の一言でゲラゲラ笑いながら通報&封殺してきたお前らへの返答だ」  

 一方、殺された岡本さんは「hagex(ハゲックス)」のハンドルネームで運営する自身のブログの5月2日の投稿で、「低能先生」による他の利用者への「誹謗中傷」があった際に、掲示板の運営会社に通報してアカウントを凍結させる活動をしており、自身も繰り返し被害に遭っていたことを明かしていました。  

 匿名掲示板にはこのブログがリンク先として紹介されており、掲示板の利用者がブログに容易にたどり着ける状態になっていました。  

 ブログにはまた、事件に遭った6月24日のIT関連セミナーで講演することも記されていました。  

 こうした背景があって、事件は起きたと推測できます。  

 ネットの世界は人と人が「歪」に繋がり合っているところがあり、いつリアルな世界で凶悪事件の被害者になる恐れがあるということです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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