大衆は情報弱者の集団

 大衆は自分が平凡で、これといって取り柄のないことを自覚しています。  

 スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットは、大衆をこう定義づけています。 


「大衆とは、凡庸であることの権利を主張し、根拠のない圧倒的な自信のもとに浅はかな価値観を社会に押しつけようとする存在」  

 

 日本でも、そうした大衆がネットという発言のツールを得て、まさに浅はかで深みのない価値観をあちこちで撒き散らしています。  

 たとえばグルメサイト「食べログ」で、ランキングが不正に操作されていたことが発覚したことがあります。  

 複数の〝銭ゲバ〟業者が特定の飲食店に対して好意的な口コミを投稿し、まんまと報酬を得ていたのです。  口コミサイトのなかには、往々にして利害関係者やど素人が残薄な評価をしているものも少なくありません。 

 そうした意図的な口コミに加えて、マーケティングによって店の立地や席の配置、照明の角度などを決めています。  

 さらに情報弱者が喜びそうな「産地直送」や「期間限定」、「有機栽培」、「長期熟成」、「秘伝」、「匠の技」などといった単なる記号に過ぎないキーワードを組み合わせて商売にしているのです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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