責任逃れの「デフェンシブ・メディスン(防衛的医療)」の潮流

 この豊かに見える時代に、人は何かの不安を感じ始めています。そんな不安が深層心理に働きかけ、あり得ない「妄想」を引き起こすのです。  

 実際、ほんの些細なことで大きな責任を負わされ、今の給与や地位、生活の全てを奪われるかもしれないといった恐怖心を抱くといった人が増えているといいます。  

 こうした人は、たまたま遭遇したバナナの皮という些細な情報に囚われて自らその責任を拾ってしまうのです。  

 複雑化した今の社会では、これに似たジレンマが至るところで起きています。  

 たとえば医療の現場でも、「バナナの皮を拾った責任」を問われることを恐れる医師や看護師などが増加中といいます。  

 その影響でデフェンシブ・メディスン(防衛的医療)の傾向が色濃く出始め、過剰な検査を行って客観性を装える「データとマニュアル」だけでの診療が進んでいるのです。  

 結果的に、患者は血も涙もない医療を施されることになるのです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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