3大「幸福論」

　あなたは、世界的に「３大幸福論」と呼ばれているものを知っていますか？ 　

　それはカール・ヒルティ、アラン、バートランド・ラッセルがそれぞれ書いた「幸福論」のことです。 　

　作品の内容はヒルティがクリスチャン的、アランがストア哲学的、ラッセルが精神分析的といった特徴があります。 　

　それぞれの幸福論について、簡単に紹介します。 　

　スイスの法学者で哲学者、政治家でもあったヒルティはこう述べています。

「幸福に生活しようとする人は、何よりもまず自分の気分から完全に解放されることが必要である」 「心配に対する最上の対策は、忍耐と勇気である」 

「寝床に就くときに、翌朝起きることを楽しみにしている人間は幸福である」 

　日本では、『幸福論』『眠られぬ夜のために』の著者として知られています。 　

　フランスの哲学者で教師だったアランは、悲観主義と楽観主義の違いについてこう書いています。 「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」 　

　そもそも楽観主義は、生まれつきの才能や性格ではなく自分の意志によって身に着けるものだというのです。 　

　ラッセルは、不幸な人と幸福な人の違いについてこう語っています。 

「不幸な人は不幸な信条を抱くのに対して、幸福な人は幸福な信条を抱く」 　

　悲観主義者は目の前の現実をネガティブに受け止め、楽観主義者は同じ現実をポジティブにとらえる傾向があります。 　

　自分を不幸と思っている悲観主義者は、自分に「あるもの」ではなく「ないもの」のほうに目を向けがちです。 　

　逆に、自分を幸福と思っている楽観主義者は自分に「ないもの」ではなく「あるもの」に目を向けているということです。 　

　両者の違いは、自分が置かれている現実をどう受け止めているかということで生じてきます。

　もちろん、両者が生きている現実はまったく同じものです。 　

　ところが、同じ現実でも心模様によって違った光景に見えるのです。そこには心模様が色濃く反映され、それぞれの価値観や人生観、世界観までも映し出すのです。