ノブレス・オブリージュと武士道
ノブレス・オブリージュとは、もともと貴族などがその高い地位と引換えに戦争になったときには積極的に命を賭して領民を守る義務を負うといった考え方です。
日本でも、江戸時代の武士には武士道という高い倫理観があり、世の中の治安を守るといった強い使命感を持っていたといいます。
経団連の2代目会長だった石坂泰三氏は、国民の生命と財産を守るべき自民党が派閥抗争に明け暮れ、国政をないがしろにしていたことに怒り、鳩山一郎首相の自宅に乗り込み退陣勧告を突きつけています。
4代目会長だった土光敏夫氏も、「料亭では本当の話ができない」という高いモラルを持ち、仕事が終わるとサッと帰宅し、夜の宴会には一切顔を出なかったといいます。自宅の造りも質素で、メザシが好物だったというのは有名な話です。
5代目会長だった稲山嘉寛氏も、雇用問題で「いかに雇用を維持するか」という姿勢で労使交渉に臨んでいたそうです。
その点、今の日本企業は経費削減のためにひたすら人件費を削り、不安定な非正規社員を増やす一方です。
皮肉を込めて言えば、日本でもケインズ氏みたいにエリートでありながら平気で労働者の味方のフリができるエリートの登場が待望されているのです。
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