小林麻央さんもスピリチュアルペインを自覚していた
人は、いつ死ぬかわかりません。 それはあなたも例外ではありません。
人世において、後悔の念を抱いたままこの世を去ることは、死ぬ間際まで襲ってきます。 今は健康に過ごしていても、いつ病気に見舞われるかわかりません。
もし「余命1年」と宣告されたら、それは魂の痛みとしてあなたに襲い掛かってくるのです。
がんなどの病気にかかると、多くの人が魂の痛みを感じます。この痛みは、治療後の痛みや後遺症で今までできていたことができなくなってしまう「身体的苦痛」、治療費やこれからの生活に不安を抱く「経済的苦痛」、家族や周りの人に迷惑をかけてしまうという「社会的苦痛」とは別の痛みです。
「死ぬことが怖くて不安でしょうがない」
「孤独でつらい」
「自分の世界が壊れたみたいで生きていることが苦しい」
「自分の生きる意味や価値がわからなくなった」
「なぜ自分だけこんなつらい苦しみを味わわなければならないのか」
「家族と二度と会えなくなると思うとつらい」
このような「生きる意味」を問う感情は、終末期患者が抱く症状で、「スピリチュアルペイン」と呼ばれています。こうした魂の痛みは、死を意識した瞬間から生じるもので、人生で必ず一度は経験するものなのです。
歌舞伎役者、市川海老蔵さんの妻、麻央さんは今年6月、がんを患い無念の死を遂げています。最期は、がんの治療法がなくなったので在宅医療に切り替えています。
人生最大の危機である死と直面して、まだ幼い2人の我が子を残してこの世を去っていくことにスピリチュアルペインを自覚していたはずです。
魂の痛みとどう向き合い、どう克服していくのか?
人世を穏やかに過ごすために、そして「いい人生だった」と思ってこの世を去るために、スピリチュアルペインをどうやって乗り越えていけばいいのか?
終末期患者を取材すると、諍いがあった子どもと和解をすることを望む人、残される家族の心配をする人、仕事での後悔をする人、自分自身を認められないで苦しむ人、死にたいという思いに囚われている人など、人それぞれだということがわかります。
結局、心の救いは自分自身が見つけ出し克服していくしかありません。それは、人生における最期の終活とも言えるのです。
今年7月に亡くなった聖路加国際病院の日野原重明名誉院長は、よく「看護はアート」と述べていたといいます。
日野原さんは晩年、自分や周りに対して「死をどう生きるか」という問いを発し続けていました。誰もが死に向かう人生を、最期のときにどう結実させるかという意味だと語っていたそうです。 この作業は、おそらく人生における最大の終活ではないでしょうか。
終活で最も忘れてならないのは、あなた自身の「心の終活」なのです。
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