繁盛店の作り方②

  斧さんが教師役を務めた模擬授業でも、どのチームからも誘われなかった生徒が集められたチームが生まれました。斧さんは最初、その「弾かれ組」の模型作りを眺めていても何を作っているのかよくわかりませんでした。  

 プレゼンでは、「弾かれ組」を代表して女子児童がモジモジしながらプレゼンを始めました。

 「私たちのお店は、ネクストという名前です。お店づくりのコンセプトは、ネクストステージ。それは、お店を訪れたお客さんが次のレベルに上がっていくということです。そこはヘアサロン、メーキャップサロン、ネイルサロン、ブティックが一緒になっています。入口から入ったお客さんは、決められた順番通りに進んでもらいます。お客さんとしては、自分に自信がない、自分を変えたいと思っている人に来てもらいたいです。  

 このお店では、お客さんは注文ができません。私たちプロの店員がお客さんに似合う服や化粧、髪型、ネイルの色を選んであげるのです。そして、お客さんがお店を出るとき、これが本当の私だと思えるような変身を遂げています。きっと、前とは違う私みたいと思ってもらえるはずです。つまり、ネクストステージに上がってもらうのです」  

 担任の先生は、女子児童のプレゼンを聞きながら涙をこぼしていました。担任や保護者、審査員も感動していました。先生や保護者は、そのチームの生徒たちが日ごろクラスで置かれている立ち位置をわかっていたからです。  

 プレゼンでは「弾かれ組」の内なる思いが表現されていましたので、みんなが感動して涙を誘われたのです。  

 斧さんは女子児童のプレゼンを聞いていて、常識にとらわれない、人真似ではない事業イノベーションにも繋がるような魂を感じたといいます。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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