偽セレブの貧相な心模様

 SNSでは、いくらでも虚構の世界を作り出すことができます。自分を過剰に演出することなど朝飯前。なかには、それを利用して犯罪に手を染める人もいます。  

 たとえば15年10月、 偽ブランド品をネットオークションに出品し、京都府警に詐欺と商標法違反の疑いで逮捕された無職の松永かなえ容疑者(当時26)。  彼女は、偽ブランド品をネットオークションに出品し、ネットではセレブを気取る「美女」として有名でした。  

 ツイッター上では「ばびろんまつこ」と名乗り、高級ホテルでの滞在や高級すし店での食事、高級外車や高級ブランド品の買い漁り、海外旅行の様子などを頻繁に投稿し、みずからのセレブぶりをアピールしています。  

 ツイッターには、無職なのに「年収3000万円のハイパーエリートニート」と書き込み、セレブ生活を満喫する「キラキラ女子」として話題になっています。  

 ファンも多く、芸能人や著名人でもない一般人なのにツイッターのフォロワー数は1万人以上。ネット上で一般ユーザーから受けた質問に対して、ふざけた回答を連発しています。  

 たとえば「女性でお金を稼ぐ人の条件って何だと思いますか?」という質問に対して、こう回答しています。 

「とにかく柔らかいことに尽きると思います。頭、物腰、そしておっぱい」  

 なかには、人を小バカにするような「セレブツイート」もあります。 

「正直な話年収が1500万超えたあたりから自分より年収が低いであろう異性は自然と身近にいなくなる。いてもコンビニの店員さんとか宅急便の配達員さんくらい」  

 そうした偽装セレブのゲスな過剰演出も、カルティエの偽ブレスレットをネットオークションに出品したことで発覚します。  

 それを落札した女性が警察に、こう相談していたのです。 

「箱も粗末でブレスレット自体が軽い。偽物では」  

 松永容疑者のようにセレブぶりを過剰演出する心模様になってしまうのは、今や他人事ではありません。  

 だれもが歪んだ欲望や羨望を抱くことで、いつでも「ばびろんまつこ」になる可能性があるのです。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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