東京五輪が終わっても同じ声が聞こえるだろう

 ロンドンオリンピック(12年)が開催されていた当時、こんな声を耳にした人も少なくないはずです。 

「メダリストに夢をもらいました。夢を諦めずにがんばっていれば、必ず叶うことを知りました」

 そうしたポエムのような声には、どこか違和感を覚えてしまいます。  

 もし観戦者がメダリストに自分の姿を重ねて、夢を諦めないで追求すれば「いずれ夢は叶う」と連想しているとしたら大間違い。なぜなら、そこには何の根拠もないから。  

 オリンピックのメダリストは少数で、参加したアスリートのだれもがメダリストになっているわけではありません。その背後には、最後まで夢を諦めなかったのにメダリストになれなかった無数の敗者がいるのです。  

 このように何にでも共感していると、そのうち自分らしさを見失ってしまう心配があります。人の意見を鵜呑みにしていると、それに同化するばかりで悪影響を受けるリスクが高まるばかり。  

 人の意見や流れてくる情報がすべて真実を伝えているわけではなく、なかには間違った情報もあります。そこで自分で考えて判断し、それから評価するという値踏みが欠かせないのです。  

 日ごろ、既存のルールや常識に合わせて生きることに息苦しさを覚えている人は少なくないでしょう。  

 自分らしい人生を送っていくには、人の意見や価値観、世界観、流行などに左右されないこと。そうしたものは、みずから考えて見つけ出していくしかありません。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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