美容整形という「解決策」を求める女性たち

 容貌――。

 作家の唯川恵さんの長編小説『テティスの逆鱗』を読むと、整形で美と若さを手に入れた女性たちが描かれています。

 登場するのはヌード写真集の準備を進める47歳の有名女優、高校時代まで「ブス」といじめられ、整形で美貌を手に入れたキャバクラ嬢、仕事と育児に追われ、夫とはセックスレスの女性などです。

 それで名誉欲、復讐心、他者に肯定されたいという承認欲求などが、美容整形という「解決策」に彼女ちを駆り立てます。

 しかし、万人が羨むような「見た目の美貌」を手に入れても、歪んだ人格は変わりません。それどころか、整形を重ねるほど彼女たちの中身は歪さを増していくのです。

 ところで、40代後半でデビューした英国人歌手のスーザン・ボイル――。

 オーディション番組に登場したスーザンは、自分の「見た目」を笑った聴衆を、美声で黙らせました。誹謗中傷や嫉妬に晒され、決勝戦で敗れ、精神的に追い詰められても、歌手になる夢をあきらめませんでした。

 苦難を乗り越え、眉と髪を整えたCDジャケットのスーザンは、実に「いい顔」をしています。 

 人は見た目(第一印象)が9割と言いますが、見た目が良くても心が貧相な人は少なくありません。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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