上昇思考を諦めた人が取りやすい行動

 これまで受験戦争や就職活動などでエリート街道を歩んできた人が、入社先の同僚や後輩に先を越されて自分の昇進の可能性がなくなったとき、ある心理状態に陥るといいます。

 その心理になると前向きだった人が急に無気力になったり、自分でも説明できない喪失感が強まったり、何をやるにも自信をなくしたりと、うつ症状に似た心理に陥るのです。

 人はキャリアを重ねる中で、いくつもの川を渡っていかなければなりません。

 とくにミドル世代のサラリーマンには、「中期キャリアの危機」とでも川が横たわっています。早い人なら30代中盤、遅い人でも50歳前後までには、だれもが渡らなければならない川が行く手に流れています。

 米国の組織心理学者エドガー・シャインは、そうした「中期キャリアの危機」をこう表現しています。

「気が滅入り、落胆した状態。あるいは、ガソリンが切れた、モチベーションを失った状態であり、仕事に興奮を得られず、もし経済的に実行可能なら劇的なキャリア転換さえ夢見る時期である」

 サラリーマンは、ミドルになると組織内での自分の将来像が見えてきます。その時期、若い頃に抱いていた夢や期待と、現在のギャップを確かめようとします。そして、キャリアの再検討を行うのです。

 そこで生じる不安とギャップから生じるジレンマこそ、中期キャリアの危機の正体です。そのとき納得できると、すんなり危機を脱することができます。

 しかし、中年キャリア危機を迎えたサラリーマンの多くは、「キャリア・プラトー」と呼ばれる心理に陥ります。

 それは、それまでの自分を超えられないということへの苦悩です。まさに自信が揺らぎ、それが劣等感や嫉妬心に繋がって翻弄されるのです。そして、組織の中でしか生きられないという諦めに気が滅入ります。  

  それで済めばいいのですが、それだけでは組織では生き残れません。 そこで組織で力を持つ人に擦り寄り、権力の傘に隠れようと画策するのです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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