世界の富豪62人の資産が貧困層36億人分の資産と同じという現実
国際援助団体「オックスファム」は16年1月、ダボスで開催される世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に先駆けて、格差に関する最新の報告書「最も豊かな1%のための経済 (An Economy for the 1%)」を発表しています。
それによると昨年(15年)、世界の資産保有額の上位62人の総資産は下位50%(36億人)の人々の総資産に匹敵していました。その数字は、5年前の10年には388人でしたので事態の深刻さが増していることがわかります。
しかも世界人口が4億人も増えているのに、下位50%の人々の資産総額が41%も減少。それで資産家62人の資産合計は10年からの5年間で44%も増加し、1兆7600億ドル(約206兆円)にも達しているのです。
オックスファムが指摘していた「世界の1%が残り99%より多くの富を所有する」という状況は、予想よりも早く現実のものとなっています。
そうした資産家の資産は最も貧しい人々の犠牲の上に成り立っているというのに、タックスヘイブンによる租税回避などによって社会への還元がなされていません。そのため各国政府は税収入が減少し、貧困と格差の問題に対処するための財源を失っているのです。
世界的に、富の集中と経済格差がますます進んでいます。オックスファムのウィニー・ビヤニマ事務局長は、各国の指導者に対して貧富の差の解消のためのアクションを呼びかけています。
「世界の指導者は不平等をめぐる危機が悪化することを懸念するが、具体的な行動に転化していない。数億人が飢えているのに、それを救えるはずの富を富裕層が吸い上げている状況をこれ以上許してはならない」
それで先進国のほとんど、発展途上国の大半で、労働賃金が国民所得に占める割合が低下傾向にあるのです。
オックスファムは、こう指摘しています。
「富豪は利子や配当でもうけ、その資本の利益率は一国の経済成長率より継続的に高くなっている」 それにしても、驚くべき富の集中です。
反政府勢力やテロリスト集団のテロ行為の背景には、そうした経済格差に対する怒りや憤懣があるとされています。
ともかく世界の枠組みは、ネットの普及や産業のAI化などによって劇的な変化を遂げようとしています。
それが「吉」と出るのか?
それとも「凶」と出るのか?
今後の展開次第では、どちらにでも転んでいくということです。
企業経営にしても、一部の幹部に支配権が集中しているという実態があります。
このところ企業社会の仕組みが激変し、その典型的なものが「帝国」と呼ばれているアップルです。
アップルは、破壊的イノベーションでの勝ち組。そこでは、製品開発などの中枢を担っているのは僅か数100人しかいないとされています。その一方で、外注先の製造や販売に携わっている従業員や労働者は100万人以上もいるというのです。それで両者の待遇の違いには、天地の差があるといいます。
世界的に、貧富の差はますます拡大しているのです。
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