リスキーな選択こそが、もっとも安全な道

 世界一稼ぐ女性ミュージシャンとなったテイラー・スウィフト(26)さんは、自分の作品を自由に作っています。

 アルバム『1989』(14年発売)の製作では、レーベルの重役やプロデューサーはスウィフトさんがカントリーからポップへ転向することに強く反対しています。

 それでもスウィフトさんは幹部連中を説得し、カバーの顔写真から共作したミュージシャンのクレジットなどすべて自分で決めているのです。

「GQ Japan」(16年2月17日)のインタビュー記事「完全無欠の26歳はマスタープランを持つ女」では、こう冷静に自己分析をしています。

「レーベルとしてはカントリー・ミュージック界で成功してる私がポップ・ミュージックのアルバムを作るのはとんでもない間違いだと思っていて、全力で阻止しようとしてるのを感じたわ。でもリスキーな選択こそが私にとってはもっとも安全な道なのよ。ほかのことはあまりうまくやれないけど、作詞作曲には自信があるの。

  12年に出したアルバム『RED』はある批評家から〝核がなくて音楽的なまとまりがない〟と言われたんだけど、14年のアルバム『1989』が目指したのはまさにその点なの。全部の曲がアルバムとしてまとまっているようにしたかったの。それを理解してくれないレーベルから『ポップだけじゃなくてカントリーのファンにも受けるようなアルバムにしよう』と提案されて、即座にノーと断ったわ」

  時流に乗ったミュージシャンでも、同じことを続けているといずれ飽きられます。

 新人が次々とデビューしてくる音楽業界で、確固たるキャリアを築いていくには絶え間ない努力と戦略が欠かせません。

 スウィフトさんは09年、ビデオ・ミュージック・アワードで最優秀女性アーティスト・ビデオ賞を獲得。その授賞式で、スピーチ中にリズム・アンド・ブルース(R&B)の歌手で音楽プロデューサーのカニエ・ウェストさんにマイクを奪われ絡まれています。

「ビヨンセのビデオこそが最高だ!その賞はビヨンセにやれ!」

  カニエさんは、そのとき泥酔していました。

 一方、スウィフトさんはその事件をもうまく成功へと繋げています。

 スウィフトさんのファンは、それを横柄なR&Bシンガーにイジメられて涙をこらえているバービー人形という構図でとらえたのです。

 それで、スウィフトさんはファンから応援すべき存在と見なされています。

  スウィフトさんは「GQ Japan」(16年2月17日)のインタビュー記事「完全無欠の26歳はマスタープランを持つ女」で、こう言い切っています。

「リスキーな選択こそが、私にとってはもっとも安全な道」

 何があってもその場に立ち止まらず、進化し続ける勇気や情熱、覚悟、胆力、独創力、決断力、突破力があります。

 まさに、本場のヤンキー魂で心を武装した若き女性アーティストなのです。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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