大和撫子の鬼女化、スネーク化が進行中

 掲示板「2ちゃんねる」の「既婚女性版」を利用している既婚女性は、日ごろヒマに任せてネット上で噛みつく相手や火種を探索。それで他人の問題行動や不祥事を見つけると、手前味噌な理屈で騒動を大きくしようと徹底糾弾します。

 ネット上では、そうした女性を「鬼女」と呼称。なかには騒ぎの現場まで出向く行動派もいて、こちらは「スネーク」と称されています。

 鬼女は、日ごろ家事や育児、子どもの教育、芸能人のゴシップなどの悩みについて情報交換。ひとたび他人の問題行動や不祥事を見つけると、凄まじい情報収集能力を発揮し、相手の個人情報など一気に丸裸にしてしまいます。

 たとえば総合衣料品チェーン「ファッションセンターしまむら」で13年秋、40代の女性が店員に言いがかりをつけ、土下座させたとして強要罪で逮捕されました。事件が発覚したのは、逮捕された女性が土下座させている店員の写真をツイッターに投稿していたから。

 逮捕を機に容疑者の名前がマスコミでも報道されましたが、ネット上ではその前からこの件が「炎上」していて、容疑者の個人情報を執拗に暴き立ててさらし者にする「祭り」状態になっていたのです。 

 それを炎上させ、祭り状態にしていたのが鬼女やスネーク。暴かれた個人情報は氏名、住所、生年月日、家族構成、実家の住所、出身高校、SNSのアカウント名、マイカーの車種とナンバーなど多岐に渡り、本人や家族の写真まで撮影されネットにアップされています。

  鬼女は、ネット上の証拠を「魚拓」に取ってからSNSの書き込み記録である過去ログの調査を始めます。魚拓とは、当事者がアカウントを消して逃亡した場合に備えて証拠となるツイートなどを保存しておけるサイトのこと。それで過去ログをたどっていくと、当事者のさまざまな個人情報が見えてくるというわけ。

 そうして調査された情報は「2ちゃんねる」などの関連スレッドにアップされ、多くのネット住民がそれを共有しながら効率よく調査が進んで行くのです。鬼女は女性とはかぎらず、なかには女性を装った男性もいます。

 ともかく、鬼女はネット住民のなかでも猛者が集っているとされる「2ちゃんねる」内でも「最強勢力の一つ」「敵に回すと怖い」と恐れられているのです。鬼女が情報収集で頼りにするのはSNSだけではなく、マスコミの情報も積極的に活用します。

 たとえば12年に報道され、学校側の不誠実な対応が問題となった仙台育英高校での根性焼きイジメ事件。マスコミ報道では具体的な学校名が伏せられていましたが、ニュース画面に映った背景から「2ちゃんねる」の住人たちが不明だった高校の特定に成功しています。

 その際、利用されたのがGoogleのストリートビュー機能で、報道された「仙台市内の私立高校」という断片的な情報を頼りに人海戦術で同じ風景を特定しています。鬼女は、必要なら現地に赴いてでも調査に臨むのです。

 なかでも優秀な鬼女は、有名なゲームに登場する凄腕エージェントにちなんで「スネーク」と呼ばれています。スネークは鬼女だけを指すのではなく、現地で潜入調査をするネット住民やその行為を指して使われことが多いようです。

  スネークが活躍したケースとしては、11年の正月にお茶の間を騒がせた「グルーポンおせち事件」が有名。横浜市の「バードカフェ」が販売したおせち料理がネットで注文した顧客のもとに届いたとき、注文時の写真サンプルとはまったく違ってスカスカだったことから大騒ぎになった事件です。そこで割引になるとして使われていたのが、「グルーポン」だったのです。

 スネークは問題の店舗を訪れ、ゴミの中から納品書を回収しています。

 で、写真付きでネットにアップされた納品書によると、キャビアがランプフィッシュの卵だったり、鹿児島産黒豚がアメリカ産だったりと露骨な偽装表記がなされていました。

 それが後に報道された情報と一致していて、スネークの有能さが広く世間に知れ渡っています。

  ただ、そうした鬼女やスネークの行為は個人情報を積極的に暴くことにも繋がり、責任の所在も曖昧です。

 ネット上で暴露される個人情報は、いくらでも捏造して拡散できます。間違った情報が広まった場合、「だれが責任を取るのか?」といった難しい問題を抱えています。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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