セーラームーンの「私刑」がネット上で横行

 ネット社会を迎えて、イジメの様相も変化してきています。

 たとえばSNSで、上司が部下のプライバシーに介入したり、嫌がらせをしたりする。子どもたちの間で、LINEにまつわる炎上や犯罪も増加しています。  

 破れ窓理論――。

 日ごろ地域の破れた窓を放置しておくと、やがて地域の環境が悪くなって治安が乱れていくという考え方です。

 ネット社会では、ゲスなネット住民が横行して治安が乱れっ放しといった様相も。何の対策も打たずに放置しておくと、リアル社会の治安も急速に悪化していくでしょう。  

 なかには、人のプライバシーにツッコミ過ぎる人もいます。

 川崎市で起こった中1男子生徒殺害事件をめぐって、ノエルと名乗る少年が加害少年(18)の自宅などを撮影した動画をネット上に配信していました。

 それは警察が公表したものではなく、明確な証拠もない不確かなもの。加害少年宅の表札やその家族と思われる人物が出入りする様子まで写っていて、物議を醸しています。

 「報道の自由があるなら僕にもある」 

 ノエル少年は加害少年宅の様子を生中継で配信していたところ警察官に注意され、そう居直っています。

 都内の私立中学を自主退学後、転入した公立中も不登校となり、当時は実家で動画配信に明け暮れる日々だったといいます。

  少年法第61条には、加害少年の氏名や写真の掲載を禁ずる条項があります。

 ところが事件発生直後から、ネット上では「犯人」と名指しされた人物の顔写真や氏名がアップされ、ツイッターなどで拡散。ネット住民の一部が、手前味噌な正義を振りかざして公権力に代わって「私刑」を加えたという構図です。

 たぶん、尊い命を奪われた少年や遺族の「敵討ち」をしている気分だったのでしょう。

 それは、まさにセーラームーンの私刑「天に代わってお仕置きよ!」のようです。 言い換えれば、集団リンチです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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