官製のクルールジャパン事業には限界


 NHKの「のど自慢」は、かつて歌手の登竜門だったのがラジオからスタートしています。

 美空ひばりさんや北島三郎さんら多くの歌手が、本格デビューを前にこの「のど自慢」に挑戦しています。

 1970年代には、日本テレビの「スター誕生!」から森昌子さん、桜田淳子さん、山口百恵さんの「中3トリオ」やピンク・レディーらトップアイドルが生まれています。

 今は動画投稿サイト「ユーチューブ」が、スター発掘の場でしょう。

 カナダの世界的な人気歌手、ジャスティン・ビーバーさんも動画投稿がデビューのきっかけだったといいます。

 国境はもちろん、時空さえ超えて才能が発掘されています。

 2018年に竹内まりやさんの「プラスティック・ラブ」(84年)の動画が、世界的な人気を集めて話題を呼んでいます。

 ユーザーの好みを分析して動画を推薦する機能で、今なお新鮮さを失わない曲に光が当てられて多くの外国人の心をつかんだようです。

 日本の過去の名曲に海外の人たちが関心を持つ機会にもなり、インドネシアの女性歌手、レイニッチさんもその一人でしょう。

 ヘジャブ姿でマイクの前に立ち、「プラスティック・ラブ」やアニメソングを日本語で歌う動画を投稿して人気を博しています。

 個人チャンネルの登録者は約150万人で、昨秋には松原みきさんの「真夜中のドア」(79年)をカバーし、40年以上前のヒット曲の人気をアジアや世界に広げています。

 戦後、日本は良質な文化を蓄積してきています。官製のクールジャパン事業より、目や耳の肥えた外国人に好きなものを選んでもらった方がよほど効果的だということでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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