ネット弁慶のツッコミは厄介

 小心者――。

 ネット弁慶は、ネット上では居丈高に振る舞っています。ところが、実社会では小心者というケースが少なくありません。

 その実像には、言いようのない寒々しさが漂っています。ネット上では威勢がいいのですが、実生活では小心者でヘタレの典型なのです。

 ネットの世界では、そうしたネット弁慶が跳梁跋扈しています。

  蔓延する「一億総ツッコミ」といった風潮は、一方で、そうしたネット弁慶とはかかわりたくないという窮屈さ、息苦しさを生んでいます。

 本来、ツッコミやボケってお笑いの手法です。

 ところが、それがネットにかぎらず、日常的な会話や飲み会などでも炸裂しています。とにかく、人の目立つ言動に対してツッコミの総攻撃を始めるのです。

 そうしたツッコミを恐れて、みんなが自己規制し、自由に意見が言えなくなって委縮してしまっています。

 なぜなら、何か発言すると、ここぞとばかりに自分こそ「正義の使者」と思い込んでいる厄介で面倒なネット弁慶にツッコまれるとわかっているからです。

  実社会でも、何でも深みのない低レベルの笑いのモノサシで人を評価しようとする風潮があります。

 それが過剰になって少しでも噛んだり、ベタなことに感心したり、空気を読めなかったりするとボケあつかいをされてしまい。

 それでイジメの対象となり、その社会でのカーストの最下層に位置づけられることもあるので厄介です。

  だから、ボケるにしても前もって何らかの予防線を張っておくという風潮になっているというわけです。

 今の日本は、何とも息苦しい社会になっているのです。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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