ネット社会はバカやアホの「解放地帯」

 だれもが、どこでも気軽に発信できるネット時代――。

 ネット社会には、若者が大人の目を気にせずに「自由」に発言できる空間が広がっています。

 調査会社ニールセン社の調査(15年)によると、18~19歳のSNSの利用率はLINEが9割、ツイッターが8割となっています。

 利用目的は、たとえばスマホは「友人や家族とのコミュニケーション」が72%、「写真や動画を撮る」が67%、「動画、ゲームなどを楽しむため」など。

 もはや、若者はスマホなしでは生きていけないようです。

 これまで、数多くのピン芸人がテレビや演芸場を賑わせてきました。なかには持ちネタの芸が一発当たっただけで、知らない間に消えていった人も少なくありません。

 人生も、そうしたピン芸人のようなもの――。

 若者も自分らしい人生を送るには、それなりの持ちネタが欠かせません。

 なかには酒に酔った勢いを借りて社会的な道徳や規範、ルールといったものを逸脱した悪ふざけの写真や動画をネットに投稿するバカやアホがいます。

  たとえば16年6月、青山学院大学のサークル生がツイッターに投稿した動画が非常識すぎると炎上しました。

 それにはスーパーの鮮魚コーナーの前で酒に酔った7、8人の男女が大声で歌いながら騒ぐ様子が映っていました。集団が円形になって広がっていたので、通路を塞いでいる状態でした。

 それが、TBS系のワイドショー番組「白熱ライブ ビビット」(16年6月16日)で、若者の悪ふざけ動画の投稿の特集で取り上げられています。

 コメンテーターだった夜回り先生こと水谷修さんは、番組でこう憤っています。

「だいたい大学の教育がなってないわけですから。青山学院の学長は辞めるべきですね。そうすれば事の大きさが分かる。この子たちも退学処分でいい。非常に腹が立つ」

 同年4月には、沖縄の少年数人がコインランドリーに置かれた乾燥機の中に入り、周りがその光景に爆笑するといった動画を投稿するなど、いわゆる「バカッター」の悪ふざけ行為は増加の一途をたどっています。

 日本社会は、何かと同調圧力が強いところ。人と少しでも違う言動をするとイジメを受けたり、仲間外れにされたりします。そのため、日ごろ何かと表立って自己主張しにくいところがあります。

 みんなが同調圧力に息苦しさを覚え、そうしたストレスを解消するためにネットがある種の「解放地帯」になっている面があるのかもしれません。 

 まさに、ネット社会は鬱屈しながらも目立ちたいといったバカやアホの「解放地帯」になっている のです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000