過去の成功体験を断捨離する

 フィンランドが本部の巨大企業ノキア――。

 ノキアは、ケータイ市場で長年に渡って世界を席巻していました。

 ところが、破壊的イノベーションに対応できずに経営危機が表面化。そこで13年、ケータイ事業をマイクロソフトに買収するなど大胆なリストラを進めています。たとえば、それで従業員5000人以上がノキアを去ったともいいます。

  同時に、フィンランド国内でスタートアップと呼ばれる情報通信やゲームなどのベンチャー企業が次々に誕生しています。

 ノキアが一時的に衰退したことで、優秀な人材がベンチャー企業の起業家として野に放たれたからです。ノキアが全盛を誇っていたころ、逆に優秀な人材がこぞってノキアに入社したがっていたといいます。

 なぜ日本では、そうした業界を根底からシャッフルするような激変が起こらないのでしょうか?

 それは、減点主義の日本企業がもっとも苦手としているところだからです。

 日本企業のサラリーマン社長の多くは、減点主義による株主などの評価を恐れてドラスティックな事業のシャッフルに踏み切れないのです。経営難になって台湾企業の鴻海精密工業に買収されたシャープは、その典型的なケース。

  その点、ノキアは携帯電話向け基地局などを手がける通信インフラメーカーへと主力事業をダイナミックに転換。それで再び世界市場でトップの座を争うまでに復活を遂げています。

 新生ノキアを支えているのが、売上高の9割を占める通信インフラ事業。日本でもドコモ、au、ソフトバンクの大手3社が主要な顧客になっています。

 ノキアは過去の栄光を捨て、破壊的イノベーションを経ることで息を吹き返したのです。

  あなたが破壊的イノベーションの流れにうまく適応したいのなら、過去の成功体験を断捨離してヤンキー魂で心を武装していくしかありません。それで結果を恐れずに、新たなことにチャレンジしていくことが大切なのです。

 なぜなら、何事も思っているだけではなくアクションを起こさないと結果なんて出てこないからです。 

 安定志向で何も挑戦しない現状維持というのは、ディズニーが言ったように実際には後退しているということ。それは、あなたも例外ではありません。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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