難しい取引のほうが狙ったものを安く手に入れられる


 トランプ前米大統領は若いころ叩き上げの不動産業者だった父の下で、ビジネスの現場を回って多くのことを学んだといいます。

「トランプ自伝」には、まず家賃取り立ての担当者に教わったのは「扉をノックする際、決して正面に立たないことだった」と書かれています。

 相手から銃で撃たれても、「手だけで済む」という生命を守る知恵であったと理由がつづられています。

 そうした修羅場で、窮地を凌ぐ力を養い磨いてきたのでしょう。

 先日、邦議会襲撃を扇動したとして訴追された弾劾裁判は「無罪」の評決に至っています。

 退任した元大統領の弾劾という異例の裁判には、政治生命をここで終わらせたいという反トランプ側の願いが込められていたのでしょう。

 しかし、養ってきた強固な支持層が政治生命の急所を守る盾になったようです。弾劾裁判で反旗を翻し、「有罪」とみなした共和党の上院議員は一部に止まっています。

 根強いトランプ支持層を敵に回すと、選挙に勝てないという思惑が共和党に広がっていたからともみられています。

 米国の歴史に汚点を残していながら、政治生命が尽きることにはならなかっのです。

「私は込み入った取引にひかれる。難しい取引のほうが狙ったものを安く手に入れられるから」

 自伝には、そうか書かれています。

 難局に対する性分が変わっていないなら、混乱はまだ終わりではなさそうです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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