狭隘な貧しい心
女優オードリー・ヘプバーンさんは、わずか24時間の「ローマの休日」で世界中の人々をとりこにしています。
「美しい唇であるためには、美しい言葉を使いなさい」
ナチス・ドイツ占領下のオランダでは、レジスタンス活動に携わっています。幼い命が消えていく惨状に、心を痛めていたのでしょう。
戦後は、国連児童基金の親善大使としても精力的に活動しています。
米国映画の初主演でアカデミー主演女優賞を手にした理由は、その知的な美貌と魅力的なしぐさだけにあったわけではなかったということです。
一方、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言は誰が聞いても醜さに満ちた言葉でした。
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」
森会長は後日、発言を撤回していますが、国内外で辞任を求める声が止みません。
そこに、この人物の性根、本心を見て取ったからでしょう。
問題の本質は、森会長の不見識だけでは止まりません。発言があった会合では、森会長を諫める人もなく、笑いすら広がったといいます。
傍観した人々を含め、社会全体の意識が問われているのです。
ヘップバーンさんの言葉には、続きがあります。
「美しい瞳であるためには、他人の美点を探しなさい」
人の美点をつぶしているのは、その瞳を閉ざす狭隘な貧しい心に他ならないのです。
0コメント