日本の実力は相対的に落ちてきている

 近年、日本人が自然科学系のノーベル賞を受賞するケースが相次いでいます。

 ノーベル賞の日本人受賞では、1987年の医学生理学賞の利根川進さんの後、90年代は1人もいませんでした。

 それが2000年以降は受賞者が相次ぎ、14年までに14人が受賞しています。そのことで、日本中が科学大国などと浮かれています。

 本当に、そうなのでしょうか?

 そうした実績は今の日本人の実力ではなく、少し前の時代の先人たちが挙げてきた実績が評価されているだけのことです。

  経済協力開発機構(OECD)は15年、GDPに占める教育予算の割合で日本が加盟国のなかで最下位だったと発表しました。

 日本は、子どもの教育予算も子育て支援の予算もGDP比で最低の水準だったのです。

 GDPの割合なので金額で日本が最下位になったわけではありませんが、政府が財政再建のためという理由で子そうした予算を削ってきたことが現れた数字です。

 日本の子育て費用は、幼稚園や保育園が無料の国と比較すると親の負担が非常に多いというのが特徴です。それが、人口減少の原因にもなっているのです。

  教員の給与にしても日本では過去13年間で6%も減り、OECDから「日本は教員の質が悪く、教育内容も劣っている」と指摘されています。

 そうやって日本の教育予算が年々減らされているので、日本人のノーベル賞受賞者がゼロという時代がやってくるのではないかと心配されているのです。

 イギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」は16年、中東を含むアジア地域の大学ランキングのトップ100を発表。それによると東大は13年に発表が始まってから3年連続でトップでしたが今回、7位にまで順位を下げています。

 上位100校に入った日本の大学は、前年(15年)より5校も減少して14校に。

 ランキングでの大きな変化の特徴は、中国の大学の台頭と日本の大学の順位の低下だといいます。 

 要するに、日本の大学は明らかに実力が落ちてきているということです。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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