ココナツの実は強い風に激しく揺れている


 ミャンマーには、こんな格言があるといいます。

「ココナツの木に登れば、仕事が増える」

 旧日本軍は、ミャンマー(当時のビルマ)を占領していた時期があります。

 ココナツの実は、高い木になります。旧日本兵は、その実が欲しくて現地の村人に「ココナツの気に登って実を取ってこい」と言いつけていたといいます。

 村人は木に登って取ってくるのですが、お礼を言われません。それどころか、別の仕事まで言いつけられたといいます。

 このため、この慣用句が「報われない仕事」という意味で広まったのです。日本なら、「骨折り損のくたびれもうけ」といったところでしょう。

 ミャンマーでは今、民主化という大切な木登りが軍事クーデターによって「骨折り損」に終わろうとしています。

 軍事クーデターの背景には、昨年の総選挙で軍に繋がる野党が惨敗したことがあるようです。選挙結果を認めない軍は選挙で不正があったと主張しクーデターという荒っぽい手に出たのです。

 軍によって軟禁されたアウンサンスーチー国家顧問はロヒンギャ難民の対応では国際社会から非難されましたが、民主化の進展に向けて高い木を懸命に登っていたのは確かでしょう。

 このまま軍事クーデターによって民主化への木登りは終わってしまうのか、ココナツの実は強い風に激しく揺れています。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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