大相撲で50歳の力士が勝ち越した


 相撲は、負けるものかと張り合うことを意味する「すまふ」が語源ともされています。  

 大相撲の初場所で、その神髄に触れるような活躍をみせた力士がいます。東序ノ口9枚目の華吹(はなかぜ)は、なんと昨年5月に50歳なって4場所目で勝ち越しを決めたのです。

 これは実に116年ぶりの大記録で、50歳以上の力士の勝ち越しは明治38年(1905年)の若木野以来だといいます。

 華吹は86年の春場所が初土俵で、師匠の立浪親方よりも入門が早くて兄弟子に当たるそうです。

 昨年に廃業する予定でしたが、コロナ禍の影響で再就職先の受け入れ準備が整わずに土俵に上がり続けたといいます。

 思いもままならない世の中で、ただひたすら稽古に励み結果を残したのです。

 現役最年長力士の奮闘に惜しみない拍手と称賛が観客から送られたことは、気持ちも俯きがちな世相にあって多くの人々の背中を押したことの証左でしょう。

 古来、四股は邪悪なものを地面の中に押し込め、横綱の土俵入りは邪気を払い、五穀豊穣を祈るものとされてきました。

 華吹の取り組みに、コロナ禍の感染の早期終息と普通の日常の再開の願いを重ねたファンも少なくなかったのではないでしょうか。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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