代わりはなんぼでもいる


 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長の暴言が報じられたあと、東京五輪のボランティア辞退が相次いでいます。

 そんな事態に、自民党の二階幹事長はこう発言しています。

「どうしても辞めたいなら新たに募集する」

 これを聞いて、「代わりはなんぼでもいる」と言っているように感じました。

 同時に、それは「五輪のために」と手を挙げた人たちへの侮辱にも思えました。

 一方、性差別の持論を展開した組織の長を「余人をもって代えがたい」とかばう面々がいました。

 この森会長の〝逆ギレ会見〟について、萩生田文科相の珍解説も飛び出しています。

「最も反省しているときに、逆にああいう態度を取るんじゃないか」

 この珍解説について、「なるほどそうなのか」と納得した人は少なかったでしょう。

 森会長の問題発言から当人の辞任表明までに、日本政治の中枢にデンと腰を下ろした〝実力者〟たちと市民や国際社会との間に横たわている人権意識の溝を否応なく見せつけられました。

 その溝は、絶望的な深さです。

 昨夜、地震に見舞われた福島県では一人の聖火ランナーが辞退を申し出ていました。

 原発事故で傷ついた町を走って元気づけるという自分の夢よりも、今は反差別の意思を示したかったからだといいます。

 福島も差別に苦しんだからと、胸中を語っておられました。

 本当に余人をもって代えがたいのは、こういう気高い五輪精神を持った人たちでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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