一文字の違いで印象はガラリと変わる


 禅の研究で有名だった鈴木大拙は、「褌(ふんどし)の研究家」と書かれたことがあるといいます。「禅」を「褌」と誤植されたわけですが、一文字の違いで印象はガラリと変わってしまいます。

 かつて米国議会で、課税しない「果樹」を意味する「fruit−plants」の「−」を「,」と事務官が書いたことがあったといいます。

 そうすると「果物、野菜」を指す意味になって非課税の対象が広がり、次の議会までに大きな損失が出たといいます。

 先日、サッポロビールは、「LAGER」なのに「LAGAR」と誤ったスペルが一部にある缶ビールをそのままで発売すると発表しています。 

 一文字の誤りながら醸造にかかわる言葉で大きな違いがあるようで、間違いが見つかった際に発売がいったん中止になっています。

 これに対して「もったいない」と販売を望む声や捨てられるのを心配する声がネットで寄せられたのを受けて一転、発売することになったといいます。

 食べ物の廃棄が心配されている時代で、世の中の意識が変化していることを誤表記のままの文字が象徴しているのだと思うとミスの印象もガラリと変わるということです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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