パンデミック下では違法業者が暗躍する


 1920年代の米国では、悪名高き禁酒法下で無許可営業していたもぐりの酒場は、「スピークイージー」と呼ばれていました。

 この場合のイージーとは、「落ち着いて」「慌てないで」といったニュアンスです。大っぴらにはできない、大声で話せない場所なので「スピークイージー」と呼ばれたのでしょう。

 政府が閣議決定した新型コロナウイルス特別措置法改正案は、やり方を失敗した禁酒法を連想させます。

 これは知事が飲食店などの事業者に対して休業や営業時間の短縮を命令でき、応じない場合は罰則を科すという法案です。

 感染対策として営業を厳しく規制したいのは理解できますが、本当に効果があるのか疑問です。

 禁酒法の失敗でいうと、国が力ずくで禁止したところで人は隠れて酒を飲み、売ったのです。結果、スピークイージーは大繁盛し、マフィアは密造酒で大儲けしています。

 たとえ罰則を科しても、残念ながら隠れて営業を続ける店は出てきます。生活のため、営業を止めるわけにはいかないという事情があるのなら、罰則よりも休業や時短営業に対する協力金を手厚くしたほうが営業規制にも応じやすいでしょう。

危機のなかでは、荒っぽい手法が認められやすいものです。ここは、落ち着いて議論してもらいたいものです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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