魔法頼りのオリンピック開催


 スポーツ医学が未熟な昔、ラグビーの試合によく「魔法の水」が登場しています。

 それはヤカンに入ったただの水ですが、なぜか倒れた選手はそれを頭にかけられるとムックリと起き上がってプレーに戻っていくのです。

 マラソンで最もきついは、30キロ過ぎだといいます。それまで酷使してきた肉体は限界寸前で、そこで給水すると、まさに〝魔法の水〟になるといいます。

 バルセロナ五輪の女子マラソン日本代表だった小鴨由水さんは、こう振り返っています。

「一口飲んだ瞬間、水分が手の指の先まで毛細血管を通じサーッと体内に満ちていくのが分かります」

 小鴨さんが脱水症状でフラフラになってゴールしたバルセロナから29年、東京オリンピック開幕まで残り半年を切っています。

 コロナ禍で1年延期が発表されてから10か月が経ちますが、事態は一向に好転しません。直近の世論調査では、その8割が中止か再延期を求めています。

 この件で、菅首相は「人類がコロナに打ち勝った証しに」と前政権と同じ空虚なフレーズを述べるだけです。そこには、トップの覚悟など微塵も感じられません。

 政府はワクチンの一般接種を5月から始めるといいますが、ワクチンはオリンピック開催への「魔法の水」になるでしょうか。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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