登るべき丘の道は長く険しい


 米連邦議会は、キャピトルヒルと呼ばれる小高い丘にあります。

 22歳の黒人女性アマンダ・ゴーマンさんが詩「私たちが登る丘」を書いたのは、暴徒と化したトランプ支持派がキャピトルヒルの丘を登って議事堂を襲撃していたときだったといいます。

 アマンダさんは、バイデン大統領の就任式でこの詩を読んでいます。

「私たちは深く悲しみながらも成長した」

「この分断を終わらせる。私たちは、未来を大切にするならば、まずは違いを脇に置かなければならないことを知っているから」

 世界中が見た就任式の後、この詩が大きな反響を呼んでいるといいます。

 アマンダさんは「奴隷の子孫で、シングルマザーの家に育ったやせた女の子」と境遇を語りながら、人々の和解や再び理想に向かうことへの願いを詩でつづっています。

 古今和歌集でも、天地を動かし、鬼神を感動させるのが歌だと言っています。

 就任式での数分間の詩の朗読でしたが、無数の言葉を連ねる政治家の演説を凌いで人の心を動かす力があったようです。

 トランプ前大統領がディールなどと言って、理想よりも取引に勝つことに指導者が重きを置いていた時代です。

 登るべき丘の道は長く険しそうですが、米国の健在ぶりにホッとした国民も少なくなかったでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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