壊れたブレーキはクラクションの音を大きくしても直らない


 こんな小話があります。

 ブレーキが壊れたクルマを修理に出すと数日後、こんなメモとともに車が戻ってきました。

「ブレーキは、直りませんでした。その代わり、クラクションの音を大きくしておきました」

 もちろん、クラクションの音を大きくしても、ブレーキの代わりにはなりません。

 今日、就任したばかりにバイデン新大統領のもとに、米国という名のエンジン不調の大型車が工場に運び込まれています。

 バイデン大統領は、それを大急ぎで修理しなければなりません。はたして、トランプ前大統領の乱暴な運転で傷ついたクルマをどう修理していくのでしょう。

 米国では先日、トランプ支持派が連邦議会に乱入するなど意見対立と分断が深刻です。

 本来なら祝賀ムードに溢れるバイデン大統領の就任式も、厳重な警備のなかで行われています。

 団結を訴えるバイデン大統領には祝福の拍手が送られましたが、それだけでは分断が消えるはずもありません。

 米NBCの世論調査によると、今後4年間で米国は団結できるかとの質問にノーと答えた人の割合は約7割にも達しています。

 誰もが、団結への処方箋が見えないのでしょう。

 団結、結束へと導くカギは掛け声ではなく、コロナ対策と経済の復興にかかっているでしょう。

 ここで成果を残すと、バイデン大統領の評価と信用は上がり、団結を訴える声にも国民は耳を傾けるはずです。

 バイデン大統領も4年後、修理工場から「分断は直りません。代わりに団結を訴える声を大きくしておきました」と書かれたメモを渡されたくはないはずです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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