庶民に苦労や我慢を強いるのなら、強いる側は自ら襟を正して範を示すべき


 コロナ禍の感染が拡大した地域に緊急事態が宣言され、政府は午後8時以降の外出自粛や飲食店の閉店を求めています。

 国会では、従わない店などに罰則を科す法改正が論議されています。

 その最中、自民党の松本純国対委員長代理が1月18日、午後11時ごろまで銀座のクラブなど3軒をはしごし、公明党の遠山清彦幹事長代理が1月22日深夜まで銀座のクラブにいたと報じられています。

 松本国体委員長代理は、3軒とも「(店からの)要望を聞くために訪問した」と釈明しています。

 ネット上では、こんな疑問や批判が飛び交っています。

「真面目に自粛している国民を舐めるな!」

「銀座のママなら与党幹部に陳情できるの?」

「こんな議員がどの口で自粛や罰則を?」

 菅首相がステーキ会食で批判を浴び、支持率低下を招いたことが何の教訓にもなっていません。

 この危機感のなさは、度し難いものです。

 8代将軍の徳川吉宗は、時代劇「暴れん坊将軍」のモデルです。破綻しかけた財政の再建や目安箱を設けて庶民の声を政治に生かすなどの改革を断行し、江戸幕府の「中興の祖」とされています。

 節約を庶民にまで強いたので、自身も倹約に徹していたといいます。肌着は安価な木綿を愛用し、食事は朝夕の2回で済まし、一汁一菜を原則にしていたといいます。

 庶民に苦労や我慢を強いるのなら、強いる側は自ら襟を正し範を示すべきでしょう。

 今の夜の銀座には、どうも暴れん坊将軍の「その悪事、許すわけにはいかぬな」というセリフは響いていないようです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000