マナポイントを使い果たしそうな菅首相


 ゲームの魔法使いのキャラクターが、魔法を使うたびに消費するマジックポイントを「マナポイント」と呼ぶゲームがあります。

 マナは、南太平洋の島々の民俗信仰での霊力のことです。人や物に宿り、特別な力を与えると信じられています。

 たとえば思わぬ大漁になったら、それは網に宿ったマナのおかげであるといった感じです。

 首長も強力なマナを持つことで、島の住民を率いることができます。

 このマナは人から人へと移ったり、増えたり減ったりするからゲームのマジックポイントを表すのにぴったりだったのです。

 一方、現代の民主政治でも選挙での勝利や世論調査の高支持率で貯め込んだマナポイントは政治家のパワーの源泉となるでしょう。

 マナポイントがたくさんあると、いくら不人気な施策だろうと思うがままにポイントを使えます。

 菅政権は自民党総裁選の圧勝と6割以上の高支持率とともに発足しましたが、今の通常国会を支持率33%(毎日新聞調査)で迎えています。もちろん、コロナ禍の感染防止対策の失敗でなすところなく大量のマナポイント失ってしまったからです。

 施政方針演説ではコロナ禍対策の最前線に立つと見えを切っていますが、新味の乏しい施策を聞いていると国民が抱いている不安を理解しているのかと思ってしまいます。

 菅首相は、残り少ないマナポイントを漫然と消費しただけのようです。

 官僚の人事をテコに権力を蓄えた菅首相ですが、どんなに官僚に恐れられても国民の信頼という民主政治のマナポイントは増やせません。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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