菅首相の〝なんちゃってオジサン化〟が心配


 一国のトップは何も口の〝うまさ〟が大事なのではなく、自ら率先して行動で範を示してこそ発する言葉も説得力が増すというものでしょう。

 しかし、菅首相がやってきたことはまったくその逆です。

 菅首相は昨年12月、都内のステーキ店を訪れて計8人で会食し、国民の批判を浴びています。まさに、政府が「5人以上の会食は感染のリスクが高まるので控えて」と呼び掛けている最中の行動でした。

 1970年代の後半、「なんちゃって」という言葉が流行語になっています。これは真剣な表情で真面目なことを言った後、「なんちゃって」を付け加えることですべてを無意味化するギャグです。

 つまり、コロナ禍の状況下で菅首相が「8人の会食」に参加するのは「5人以上の会食は控えましょう。なんちゃって」と言い放ったようなものです。

 菅首相は、「自分は特別」といった行動が政府の大事なメッセージからどれほど説得力を奪うのかということを会食に参加する前に考えることができなかったということです。

 コロナ禍の感染拡大を受け、菅政権の支持率は急落しています。

「支持しない」の理由のトップは、「首相に指導力がない」というものです。この「指導力」には、「説得する力」も含まれているはずです。

 菅首相は年頭会見で、コロナ禍の感染拡大の防止のためには「国、自治体、国民が同じ方向に向かって行動することが大事」と語っています。 

 その同じ方向を向かせるのは、まさにリーダーの言葉であるはずです。

 菅首相は、一刻も早く「説得のできる首相」に自己改革するしかないでしょう。いつまでも官僚や与党議員向けの言葉「飛ばすぞ」と同じレベルの話し方をしているかぎり国民は動くはずもありません。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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