真の成功をつかみ取る


 次のNHKの大河ドラマの主役は、渋沢栄一です。

 渋沢は「日本資本主義の父」と称されていますが、日本と欧米を結ぶ親善活動でノーベル平和賞の候補に2度もなっていたことはあまり知られていません。

 1927年、米国から約1万2800体の「青い目の人形」が日本に届きます。

 当時、米国では日本人移民排斥運動が深刻化していました。日米関係悪化を憂えた米国人牧師が、友好の印として日本のひな祭りに贈ったのです。

 渋沢は、その受け入れと分配に尽力しています。日本国際児童親善会を創立し、会長に就任しています。

 結局、「青い目の人形」は外務省が受け取り、文部省が全国の学校に配布することで決着したといいます。

 この人形たちは、日米開戦で悲しい運命をたどることになります。「敵性人形」と廃棄運動が起こり、竹やりで突かれ、焼かれたのです。

 それでも潜伏キリシタンの十字架のように心ある人々が約300体を密かに保存していました。それが平和の象徴として、九州では福岡県嘉麻市などに残っています。

 実業家としての渋沢は「公益」を重視し「道徳と経済の両立」を唱えています。真の成功について、こう説いています。

「道理に欠けず、正義に外れず、国家社会を利益するとともに、自己も富貴に至る」

 コロナ禍が引き続く年頭、菅政権は「感染対策と経済の両立」を模索し右往左往しています。

 もちろん、経済の落ち込みは国民の暮らしを直撃します。できれば避けたいのは当然ですが、今こそ渋沢の言葉をかみしめて「公益」を考えながら真の成功をつかみたいものです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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