上手をリセットする勇気を持つ


 ある音楽家は、こう語っています。

「楽器を弾くことが上手になればなるほど、自分に酔ってしまいます。独りよがりになってしまうんですね。それは音楽の深さ、難しさを遠ざけてしまいます」

 そういえば、身に覚えがあります。

 ジャーナリストを長くやっていたとき、文章力は身につきました。新人のころのように走り回らなくても要領よく取材し、それなりの記事も仕上げてしまうことができました。

 自分の文章に酔うと行数も長くなりがちで、読み返して冗漫に感じることもしばしばでした。

 この音楽家の言葉には、ドキッとさせられるものがあります。

 コロナ禍で迎えた今年、世界が激変するなかで過去の成功体験だけを拠りどころにしていては何かを見落としてしまう心配があります。

 必要な改革を先送りして、いつの間にか国と地方の長期債務残高が国内総生産(GDP)の2倍を超えそうな日本の政治も同じ罠に嵌っている気がします。

 ここは、「上手」をリセットする勇気を持ちたいものです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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