お金をくれる人を助け、補佐していた元農相


 首相、農相などの「相」は、助けるとか、補佐するという意味です。「君主」を助けて補佐する役回りなので、「相」の字が付いているのです。

 英語で閣僚、大臣を意味する「ミニスター」の語源も「大きな存在に仕える小さな人」「召し使い」といいますから、やはり助けに回る人のことです。

 戦前までの日本なら「相」が助け、補佐したのは天皇ということになります。主権在民の今、国民を助け、守るのが「相」の字を担う人の役目であるはずです。

 東京地検特捜部は、吉川元農相を農相在任中に鶏卵業者から現金500万円の賄賂を受け取ったとして収賄罪で在宅起訴しています。

 吉川元農相は、「相」の意味と重さをどこかに置き忘れたのでしょう。こともあろうに国民のために政策を吟味すべき大臣室で、鶏卵業者からの裏金を受け取ったと聞いて愕然とするばかりです。

 鶏卵業者側は、業界にとって不都合な政策を止めてもらうための現金だったと認めています。

 それが事実なら、吉川元農相は「相」だったのでしょう。理由は、お金をくれる人を助け、補佐していたからです。

 それよりも、助けようとしていたのは裏金に目がくらんだ自分自身だったのでしょう。

 吉川元農相は「賄賂ではなく、自分の政治活動を応援する資金だと考えていた」と説明していますが、いずれにしても裏金に変わりがありません。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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