赤ちゃん受難の時代


 福岡県朝倉市の安長寺では毎年1月4、5日、伝統行事の「バタバタ市」が開かれます。

 バタバタとは、赤ちゃんをあやす「でんでん太鼓」のことです。小さな太鼓の横に豆がぶら下がり、軸を両手で挟んで回すと音が鳴ります。

 バタバタには愛くるしい男の子と女の子の絵が描かれ、子どもの無病息災を願う縁起物として人気があります。

 創建から約1100年たっている安長寺の地蔵尊は天然痘を治す御利益があるとされ、未知の疫病に苦しむ民が集ったといいます。

 やがて市が立ち、疫病よけの玩具としてバタバタが生まれたといわれています。アジアの仏教玩具に、これと似た物があるといいます。

 バタバタを両手で回す動作は、まさに感染対策の手洗いと同じ動きです。しかも、手をピタリと止めると何かを祈っている形になります。

 世の中、

世に心温まる種は数多くありますが、あやされた赤ちゃんがニッコリと笑う瞬間に勝るものはそうありません。

 コロナ禍の今年、孫の頬を突つけず、寂しい正月を迎えた人も多いでしょう。

 他者との距離を求められるうえにマスク越しでは、あやしたい人もあやされる赤ちゃんも受難の時代といえるでしょう。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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