リスキーな選択こそ、もっとも安全な道
世界的な女性アーティストのテイラー・スウィフト(26)さん――。
彼女は今年(16年)、第58回グラミー賞で年間最優秀アルバム、最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム、最優秀ミュージック・ビデオの3冠に輝いています。
その成功は運任せではなく、彼女が10代のころから一人で練り上げたキャリア戦略があったのです。
若いスターの誕生は、別に特別なことではありません。彼女が特別なのは、だれかの操り人形ではないということ。彼女には、スターとして覚悟や胆力、情熱、独創力、決断力、突破力があります。みずから作り上げたイメージやキャリアを人任せにしないで、隅々までコントロールしているのです。
彼女は『GQ Japan』(16年2月17日)の記事「完全無欠の26歳はマスタープランを持つ女」で、こう冷静に自己分析。
「ほかの子たちがニッケルオデオンとかディズニー・チャンネルを見ていたころ、私はVHIの『Behind the Music』に夢中だったの。バンドやミュージシャンがいかにして成功をおさめたかを見ながら、キャリアが下降した原因は何かを自分で分析していたの。自己認識の低さが原因と結論づけたわ。自己認識の欠如はリアリティを失わせ、やがて野心も創造性も失わせるの。だから私は絶対に自己認識を忘れないようにしているし、評価の管理やキャリア戦略は美しく装うことよりも重要なの」
世界的なスーパースターになるには、子どものころから根本的に意識の持ち方が違っているということです。
アルバム『1989』(14年発売)の製作では、彼女はレーベルの重役やプロデューサーにカントリーからポップへ転向することを強く反対されます。それでも幹部連中を説得し、カバーの顔写真から共作したミュージシャンのクレジットなどすべて自分で決めているのです。
「レーベルとしてはカントリー・ミュージック界で成功してる私がポップ・ミュージックのアルバムを作るのはとんでもない間違いだと思っていて、全力で阻止しようとしてるのを感じたわ。でもリスキーな選択こそが私にとってはもっとも安全な道なのよ。ほかのことはあまりうまくやれないけど、作詞作曲には自信があるの。
2012年に出したアルバム『RED』はある批評家から〝核がなくて音楽的なまとまりがない〟と言われたんだけど、14年のアルバム『1989』が目指したのはまさにその点なの。全部の曲がアルバムとしてまとまっているようにしたかったの。それを理解してくれないレーベルから『ポップだけじゃなくてカントリーのファンにも受けるようなアルバムにしよう』と提案されて、即座にノーと断ったわ」
新人が次々とデビューしてくる音楽業界で、確固たるキャリアを築いていくには絶え間ない努力と戦略が欠かせません。
彼女は、「リスキーな選択こそが、私にとってはもっとも安全な道」と言い切ります。
何があってもその場に立ち止まらず、進化し続ける勇気や情熱、覚悟、胆力、独創力、決断力、突破力があるのです。
0コメント