中途半端な策の連続が国民の士気の挫折を招く


 旧日本軍はガダルカナル戦などで、強力な米軍に対し兵力を小出しにして次々に撃破された過去があります。

 こうした中途半端な策を小出しにするのは、兵法では禁物とされています。

 しかし、菅政権のコロナ対策では「兵力の逐次投入」との批判をよく耳にします。

 旧日本軍も当時、作戦要務令でこう戒めてはいたようです。

「戦闘を実行するにあたり、所要に充たざる兵力を逐次に使用するは、大なる過失に属す」

 逐次投入は主動の利を失わせ、ムダに損害を招き、最終的には軍隊の士気を挫折させると説いていたのです。

 それなのに旧日本軍が兵力の逐次使用に陥ったのは正確な情報収集を怠って敵の戦力を侮り、根拠のない楽観に基づく作戦を立てたからでしょう。

 自分たちの都合の良いように現実を考える楽観は結局、厳しい現実によって順次打ち砕かれています

 コロナ禍の今、東京で2400人超の新規感染者が報告されるなか、後手、後手で、小出しの対策を批判されてきた政府がようやく緊急事態宣言を発出しています。

 ただ、その対象は今のところ1都3県で、しかも施策が飲食店の時短が主軸と聞くと、またも「逐次投入」の言葉が浮かびます。

 すでに専門家からは、飲食店の時短中心の策では2カ月後も今と同水準の感染状況が続くとの試算も出ています。

 飲食店の時短で感染拡大を抑えたかに見えた大阪でも、感染再拡大の兆しが見えています。

 本当の施策は、やはり人の移動、接触をより減らす策でしょう。

 爆発的な感染急拡大のニュースを聞いている国民の多くは、政府の言う「限定的、集中的」な施策の効果に疑問を抱いているでしょう。

 中途半端な策でもしも緊急事態が長引くと、最後は国民の士気の挫折が待っているはずです。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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