「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は過去のもの


 先日、90歳で亡くなった米国の社会学者エズラ・ボーゲルさんは1979年、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を書いています。

 この本は日本の高度成長期の背景を日本人の勤勉さなどにあると分析したもので、ベストセラーになっています。

 日本人は終戦から奇跡の復興を成し遂げ、自信もついていましたが、世界は思うほど認めてくれません。

 そんな折、ハーバード大の学者が「日本を見習え」と書いてくれたもので、お堅い本でしたが約70万部も売れています。

 もともと低迷期に入っていた米国を刺激する材料として書かれていたもので、駐日米国大使エドウィン・ライシャワーはボーゲルさんにこう語ったといいます。

「米国人には必携の書。だが日本では禁書にすべきだ」

 ライシャワーさんは、日本人が得意になることを心配していたようです。

 実際、日本人は得意になってしまったのか、その後の日本はボーゲルさんが評価していた雇用制度や社会制度での見直しが大きく遅れてしまっています。

 今の日本は教育制度も怪しく、その輝かしい題名「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を目にするのが辛いといった〝没落ぶり〟を呈しています。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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