自然の摂理に暴かれる人の無知や楽観
1918年8月後半、フランスの港町ブレストや米国のボストン、西アフリカのシエラレオネの首都フリータウンで同時に起きたスペイン風邪の感染爆発は、まるでウイルスの一斉蜂起のようだったと言い伝えられています。
スペイン風邪と呼ばれたインフルエンザは同年春から世界各地で流行しましたが、症状は当初、穏やかだったといいます。
しかし、8月後半に3つの町を襲ったそれはウイルスの変異で毒性を飛躍的に強め、屈強な若者の命を容赦なく奪っていったのです。
当時、病原体が何かもわからず、なぜ3か所で一斉に変異種の感染が始まったか謎のままです。まるで猫をかぶっていたウイルスが正体を現し、同時蜂起したかのように見えます。
これが、世界で何千万人もの死者を出した流行の〝第2波〟の始まりだったのです。
ところで、新型コロナウイルスの変異種は感染力が7割も強まった可能性があるといいます。英政府は新型コロナウイルスの変異種による感染急拡大を受け、ロンドンなどの事実上のロックダウン(都市封鎖)に踏み切っています。
その変異種は、欧州諸国でも見つかっています。
毒性やワクチンの効き目には変わりはなさそうですから、慌ててはいけません。ただ、感染しても無症状の人の多い新型コロナウイルスが感染力を強めると感染爆発や医療崩壊の危険が高まります。
まるでウイルスに、狡猾な悪意が潜んでいるかのようです。
新開発のワクチン接種が始まったら、すぐさまウイルスの変異による感染力アップというイタチごっこです。
こうしたウイルスの悪意や狡知と見えるものの正体は、やはり自然の摂理に暴かれる人の無知や楽観にほかならないでしょう。
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