「50G問題」がやってくる


「50G(50歳以上の世代)問題」とは今後、仕事がないシニアが大量発生することを指しています。

 高齢者数の増加は、日本の共通問題ではありません。日本全体では、65歳以上の人口の増減はほぼ横ばいです。

 社会保障・人口問題研究所の推計によると、東京23区や福岡市などが「高齢者数が2045年以降も増え続ける」という数少ない自治体です。

 で、理系の人は60歳以降もこれまでの経験を活かせる仕事があるりますが、文系の仕事は肉体労働も含めて極端に少なくなるのが実情です。

 シニアの仕事が少ない原因は、「多くの会社がシニアの雇用に消極的であること」「社員の能力を高めるための教育投資が少ないこと」です。

 OECD諸国のなかで、日本は極端に人材投資費用の割合が少ないのです。

 とくに仕事が少ない文系シニア男子のセールスポイントは対人折衝能力ですので、これまでホテルのフロントや営業でシニアを積極的に採用する企業もありました。しかし、コロナ禍の蔓延以降、接客の仕事は自動化されつつあります。

 さらにコロナ禍による不況とIT化で、企業は50歳以上を対象に希望退職者を募り始めています。

 昨年からこうした動きはありましたが、コロナ禍がこれを加速し、仕事のない50歳以上の文系シニア男子がさらに増える見込みです。

 これが、「50G問題」です。

 給料を得られなくなったシニアの消費は減り、元気なシニアが仕事もなく家でゴロゴロしていると病気にもなりがちです。結果、医療費が増えることになります。

 仕事のない50歳以上の文系シニア男子をどう活用するか。どう再教育するかは、政官財を挙げて全力で取り組むべき深刻な課題です。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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